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Portugal/Algarve's Life(ポルトガル・アルガルブから)

ポルトガル・アルガルブ地方の町、Praia da luzでお菓子屋経営 & ときどき旅日記

五木寛之、大塚初重対談 「弱き者の生き方」を読んで

 振り返ってみると、自分が初めて自分のパソコンを買ってEメールを使い始めたのが2000年。

たかだか15、6年前のこと。

通信手段の飛躍的な進歩に感動したことを覚えているけれど、去年購入したKindleも、同じレベルの感動をもたらしてくれました。

 

 もしかしたら、Kindleそのものを買わなくてもスマートフォンのアプリで本は読める、のかもしれないけれど、なんせ自分は未だにスマートフォンを持っていない身。

そんななので、ここポルトガルでも一番手に入れやすかったKindleを買いました。

本を読むことが好きな自分としては、これも初めてEメールを使い始めた時に匹敵するくらい革命的なことでした。

 

興味のある大抵の本は、kindleで検索して見つけダウンロード。あっという間に読むことができます。しかも日替わりセールから月替わりセール、お薦め本、無料本などなど、欲しいものリストがすぐに100冊超えてしまいました。…今も更新中。

お金もさることながら時間が足りません。

海外にいながら、こんなに簡単に日本語の本が読める。全くもって技術の進歩は素晴らしい!

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 そんな中、あなたへのオススメ、のカテゴリーからたまたまこの本の存在を知りました。

「弱き者の生き方」

五木寛之氏の存在を僕が知ったのは「生きるヒント」でした。

その時から、彼の書く文章、主張に共感するものがあったのでしょう、好きな作家の一人です。

この作家が書いた本を全ては読んでいないのですが、彼の書く文章の根底にはいつも優しさが流れている、そう思います。

 

弱き者の生き方

弱き者の生き方

 

 

今回、この本を手にするまで、僕は恥ずかしながら大塚初重という方を存じ上げておりませんでした。

五木寛之氏より7歳年上。

この本の冒頭、このお二方から凄まじい戦争、そして終戦直後の体験が語られます。

 

少なくとも現代の日本では決して体験することがないであろう(幸いなことに)、極限状態。それを生き延びたお二方の心に残る深い傷。

そしてそれ故に、このお二人だからこそ語れること、感じること、そして人間としての強さ(時にしたたかさ)があるのだろうと思う。

「人から蔑まされ、体面や信用が崩れるかもしれないし、家庭も崩壊するかもしれない。それでも死ぬよりは、世間体はどうあれ、離婚しても、家出しても、人は生き延びるべきだと私は思いますね。」

肉親やその他大勢の死を目の当たりにしてきたからこその、五木寛之氏の実感なのだと思う。

 

五木寛之氏を初めとした朝鮮半島からの引揚者は、朝鮮から日本に帰ってくるため、そして日本に帰って来てからも、悲惨な生活を強いられた、それでも当時自殺する者はいなかった、と言う。

翻って、今は豊かで平和な社会にも関わららず年間自殺者数が公になっているだけでも3万人超。

物質的な豊かさと引き換えに、心の貧しさが広がっていることを五木寛之氏は憂いている。それは彼の他の著書からも伝わってくる。

 

そういえば以前、どの本の中でだったか正確には忘れたが、黒柳徹子さんがユニセフ親善大使としてアフリカやアジアを訪問した時のレポートの中で、現地の人から、

「ここでは毎日、何十人もの子供が飢えで死んでいく。でも自殺をする者は一人もいない。」

 という話を聞かされ、

「日本では年間に何万人もの人が自殺している。」

という事実を嘆いておられる場面があったと記憶している。

 

このお二人が経験されたようなことが、もちろん2度と起きてはならない、と思う。でも、今この平和な時代(大塚初重氏は自由のありがたさを身に染みて体験されている)にあってこのような時代があったことを知ることは、必ず何かしらプラスの思考を僕らに与えてくれるのではないか。

少なくとも僕には、安易な楽観主義者の言葉よりも、このお二人の語られていることの方が深く心に響く。

 

弱き者の生き方

弱き者の生き方

 

 

この本の最後、大塚初重氏はおっしゃっている。

80歳の私はいま心臓動脈瘤の発生、心臓血管に4個のステント挿入、大腸憩室からの出血治療、考古学者の持病の腰痛再発に見舞われているが、こんなことにへこたれてはいられない。これからが私の人生の勝負だと思っている。

 

是非、多くの方にこの本を読んでいただきたい。

 

  

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