Portugal/Algarve's Life(ポルトガル・アルガルブから)

ポルトガル・アルガルブ地方の町、Praia da luzでお菓子屋経営 & ときどき旅日記

〇〇年ぶりに江戸川乱歩を読んでみた。「孤島の鬼」

 著作権保護期間が終わり、Kindleでも目にすることが多くなった江戸川乱歩

江戸川乱歩と言えば明智小五郎と小林少年と怪人二十面相、というくらい小学生の頃読み漁ったし、テレビで天地茂主演「△△の美女、☓☓殺人事件!」という番組を何度も見た記憶があるけれど、考えてみたらそれ以外に彼の作品をちゃんと読んだことがなかったということに気付いた。

それでも、テレビでの記憶からこの作家の描く世界観というものは何とはなしにイメージできていたけれど、ちょうど仕事が今一段落して時間があるのを利用して、早速読んでみることにしました。

 

数ある本から今回選んだのがこれ ↓

孤島の鬼

孤島の鬼

 

 先入観を避けるため、読者からのコメントも読まず、あらすじとタイトルに魅かれて決めました。

 

これは推理小説か、冒険ものか、はたまた恋愛小説か? 

前半は確かに推理小説の体である。

もちろん江戸川乱歩特有の文体というものもあるだろうが、この時代のちょっとレトロな感じの日本語と彼が描き出す世界がとてもマッチしていて面白い。

密室殺人、そして聴衆の中での殺人、本格推理小説の要素がベタなほど満載である。

現実にそれが可能かどうか、という視点で読んだらその殺人トリックに納得するかしないか意見が分かれるところ、という気もするがこの作家の世界に完全にはまって読んでいるとそんなことはある意味どうでもよいことのように思えてくる。

ちょっと非日常的なホラー的な雰囲気さえ感じられる読書感はあっという間に引き込まれた。

後半はサスペンスではなく冒険活劇の要素の方が強い。

 

それにしても何より驚いたのが、この小説がまず同性愛を扱っているところ。

終盤、洞窟内での顛末は濃厚であり官能的でありリアルであり気持ち悪くもあり。

更にその他に扱われている題材や使われている表現を考えても、この種の小説、今ではとても出版できないのではないだろうか。

そういう意味でも非常に貴重な作品である。

そして、最後のとどめの二行。

あれ、これって実は恋愛小説だった?切ないことこの上ない!

サスペンスあり、恋あり、グロテスクあり、陰湿さあり。

盛りだくさんの一冊です。

 

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